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わかりやすい参考書?(中学生向け)

更新日 2022年9月6日

 学習支援をしてほしい、というご要望をいただくことが多くあります。書くことに苦手意識があるので運筆の練習を行ってほしい、長い話やクラス全体への一斉の指示だと聞き取れないので支援してほしいといった、学習全般に関わる要望をいただくことがあれば、算数で計算は得意でも文章題が苦手、英語の単語や文を読むのに抵抗感が強いなど、特定の教科についての困り感を伝えていただくこともあります。今回は、特定の教科、特に中学校で教科学習に苦手感のあるお子さん用の本について、この頃思うことを書きます。

 ある中学校での支援会議に出席した時のこと。その会議で助言をしていた巡回相談の先生が、中学生向けのわかりやすい参考書が出ているという話をされました。5教科それぞれ1年から3年まで、そして高校受検用まで用意されています。私の知る限り4つの出版社から出ていて、長野市内の書店でもすぐに手に入ります。北長野校には、保護者の皆さんの参考にしていただくために、4社が発行している中1の英語の本を置きました。ただ、保護者の方にはお伝えしています。「この本は、すべての方にお勧めできる本ではありません。」と。

 4社分揃えたのは、表記の仕方や紙の材質などに違いがあるため、見比べて選んでいただくためです。1ページの中に字が多めのものと少なめのもの、色のトーンが明るく鮮やかなものもあれば抑え気味のものがあるなど、内容をよく見ていただき、お子さんにとって使いやすいかどうか調べてほしいと思います。

 また、英語を用意したのは、英語は音声が重要ですので、音声面での使いやすさを調べていただきたい、という意図もあります。見て覚える方が得意なお子さんの場合でしたら、イラストや図示が多めのタイプの方がいいかもしれませんし、聞いて覚える方が得意なお子さんでしたら、音声教材がたくさん入っている本が使いやすいでしょう。光や明るい色などに敏感なお子さんには、使われている紙が真っ白で光の反射が強いものや、使われている色が鮮やかなものは避けるといった選び方をするのもよいでしょう。

 実は私は、英語に関して、中学校1年生や2年生のお子さんや保護者の方には、これらの本を使うことは勧められない、とお伝えしています。その理由は、学校の教科書の進み方と全く合っていないためです。本自体が悪い、というわけでは決してありません。どの本も、最初の方でbe動詞や一般動詞の説明を行っています。be動詞の説明の仕方は本によって少しずつ異なっていて、ある本の説明はとても優れていると私は感じているなど、良い面はたくさんあります。そのため、英語がとても苦手な中3や高校生のお子さんが、指導者と一緒に使うにはいい本だと思います。(中2の3学期になると、受検用に各教科の冊子が配られるでしょうが、この冊子ではハードルが高すぎるという場合はこういった本を使うことも考えられます。ただ、学校の総合テストでは、学校で配られた本から出題されることがあることを考えると、割り切って考える必要が出てきます。)しかし、例えば小学校で英語の学習を充分にできていなかったという中1生や、英語が苦手という中2のお子さんがこの本を使った場合、教科書と内容が全く違うため、混乱して先に進めるのをやめてしまうでしょう。これでは意味がありません。そのため、英語に関していえば、私は、教科書中心で復習していく方がよいだろうと思っています。高校受検では、教科書の単語を知っていれば事足りますし、教科書の範囲を超える内容については註が付くはずです。いろいろな本に手を出して、結局どれも中途半端になることは避け、1冊、すなわち教科書に指導者と一緒にじっくりと取り組む方がよいだろうと思っています。

 他の教科の本を見たわけではないのですが、もしかしたら数学はかなり使えるのではないか、という気はしています。たとえ単元の配列は違っていても、学習の系統性は教科書に準拠している可能性が高い(このあたりは確認が必要です)ので、苦手な内容の理解を深めるには役立つかもしれません。

 万人にわかりやすく使いやすい参考書を書くことは、本当に難しいことでしょうし、無理ではないか、とも思います。学習をする人のニーズや特性に合ったものの方が学習効果は上がるでしょう。誰にとって使いやすい、学びやすい参考書なのかを考えることが大切です。ある人にとってわかりやすい本や方法が、他の人にとっても良いものとは限りません。この見極めが難しいです。自分に合った学び方を知るためには、自分の認知特性を理解する必要があると説いている本が、教室には何冊か置いてありますので、参考書選びの参考になると思います。その子にとって使いやすい本を探していきましょう。このあたりは、その子に合った支援を探していくのと共通している面がありますね。【山】

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