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困ったときのための「お守り」を準備しておきましょう:第2回保護者交流会のお誘い(その2)

更新日 2022年8月26日

 前回の続きになります。進路に関わりますが、保護者交流会当日には扱うことができないと思う内容です。

 ② 困ったときに頼ることのできる場所や方法を見つけておきましょう、について。

 前回のブログで、「お守り」を持たせておくことが必要、と書きました。バスや電車に限らず、一人で外を移動するときには、思いもよらない事態に遭遇することがあります。切符を買うときに券売機の操作を間違って違う切符を買ってしまった、買ったはずの切符が見つからない、バスや電車が時間になっても来ない、降りるべき場所で降りることができなかったなど、予想もしなかったことが起こる場合があり、その結果、パニックになってしまうと、それ以降、不安が強くなり、一人で移動すること自体が本人にとってストレスになるかもしれません。困ったことがあったときに、こうすればよいという、「お守り」を本人が持っていて、そのお守りが使いやすいものであれば、あるいはそのお守りを使うことに慣れていれば、不安感も減ります。ちなみに、私がこれまでお子さんたちに持たせた「お守り」としては、例えばこんなものがあります。

・支援終了後に帰る時、信濃吉田駅で何か困ったことがあったら、すぐにきらりに戻ってきなさい、一緒に行ってなんとかするから、と伝える。(慣れないうちは、電車の発車時間までに余裕があるよう、教室を出る時間を考えます。)

・私の名刺を渡す。そして、お子さんが下車する駅の近くにある店(本人が通る道にある店)を本人と確認し、困ったらその店に行って、名刺の電話番号に電話をしてもらうようにお願いしなさい、と伝える。(そのお店ときらりとが連絡が取れる関係もあらかじめ作っておきます。)本人がスマホなどを持っていれば、家だけでなく、きらりの電話番号も登録してもらう。

・電車やバスできらりにやってくるお子さんには、下りる駅の改札やバス停で私が待っていることを伝えておく。

・無人化になっている駅の場合、運行会社と連絡を取る手段(信濃吉田駅の場合はインターホンが設置されている。)があることを、実物を確認しながら教えておく。

・信濃吉田駅の駅員さんや、バス停の近くにある交番には、きらりとすぐに連絡が取れるよう、日頃より挨拶をしておく。

 こんなところです。実際にこういった手段が役に立ったこともあり、信濃吉田駅からきらりに走って戻ってきたお子さんがいました。

 これらに加え、ご家庭での対応も大切になります。困ったときにはどこに連絡するかをはっきりさせておく、一番連絡を取りやすい人や場所を確認しておく、連絡のしやすい手段(電話かLINEかなど)を確認して慣れておく、などといった対応です。

 こういった確認をしておくことは、いろいろな場面で役立ちます。かつて、高校生のお子さんで、学校で困ったことが起きたときには、保健室に行く(とても理解のある養護教諭だったそうです。)か、母親にメールを送って質問し、母はメールに気付いたらすぐに返信することで安心して対応するかのいずれかの方法を取っているという方にお会いしたことがあります。お子さんにとって使いやすい方法を見つけていきたいですね。

 次は、「お守り」に関して、交通機関とはまったく別の例です。かつて、きらりをご利用いただき、高校卒業後に長野市外の学校に進学したお子さんがおられました。親元を離れての初めての一人暮らしで、本人も保護者の方もいろいろと心配しておられました。高校卒業を間近に控えた3月の支援会議の時、担当の相談員からは、このお子さんが住む場所の近くにある相談できる場所や相談員の紹介がありました。私からは、進学先の学校には、学生課(学校によって名称は様々です。アパートやアルバイト先の紹介などをしてくれるところです。)が必ずあるので、まずは学生課の場所を調べ、何かあったらそこに行きなさい、と助言しました。進学先の学校は担任制をとっているようでしたが、担任の教員が常に学校にいるわけではなく、本人がその先生の授業を履修しない場合もあること、高校までの担任のように何でも相談できるとは限らないことを伝えたうえで、学生課に行けば、決められた時間内ではあるけれども、係の方が必ずいて力になってくれるし、解決のための方法も紹介してもらえるはずなので、とにかく学生課を頼りなさい、と伝えました。すぐに連絡が取れ、安心して相談できる場所が近くにあることが大切だ、と考えたためです。

  ※北長野校に、「発達障がい支援のための資源ハンドブック」という冊子があります。

   県内のいろいろな相談機関を知るために、役立つかもしれません。

 このお子さんにも伝えましたが、困ったときにヘルプを出すことは決して悪いことや遠慮すべきことではなく、助けてもらうことで安心して生活できたり、自信をもっていろいろなことに取り組むことができるようになったりするのであれば、その方がはるかに良いと思います。一人で抱え込まず、ヘルプを出すことが大切です。ヘルプを出すことができる場所はいろいろあるので、情報をつかんでおくことも必要です。このお子さんにとって学生課は有効な手段の1つになるはずで、そこからカウンセラーや相談員など、必要に応じていろいろなところにつなげていくこともできます。これも、「お守り」の一つです。ただ、ここで一言、ヘルプを出すことが苦手なお子さんが、こういった力をどのようにつけていくかについても、しっかりと考えていかなければならないことを付言しておきます。

 お守りを持つことで、安心していろいろなことに挑戦し、成功体験を積み重ねていくことができればいいな、と思っています。【山】(完)

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