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発達に困り感のあるお子さんが過ごしやすい高校とは?(保護者交流会での話し合いから:その1)

更新日 2022年9月16日

 9月13日に実施した保護者交流会では、進路についての講師からの説明を受け、ご参加いただいた皆様からいろいろなご意見を出していただきました。私も勉強になりました。ありがとうございました。

 保護者の皆様から、事前にお悩みや講師への質問をたくさん知らせていただきました。交流会の内容を受け、そのうちのいくつかについて学んだことや感じたことを書きます。

 今回いただいた質問や意見の中で、最も多かったのが、高校進学に関する内容でした。今回はその中で、何人もの方からいただいた、発達に困り感のあるお子さんが過ごしやすい高校や充実した支援をしていただける高校はどこか、という質問について触れることにします。講師からも話がありましたように、高校でも発達に困り感を抱えているお子さんに対して様々な対応がなされてきているとはいえ、小学校までのような手厚さは期待できない、という前提で書きます。

 この質問、保護者の方のお気持ちはわかるのですが、どう答えたらよいか、とても困ってしまいます。講師も困ったはずで、この質問には直接は触れませんでした。その理由は、思うに2つあります。

【理由その1】それぞれのお子さんが様々な困り感を感じており、すべてのお子さんにとって過ごしやすい学校はないかもしれない、と思うからです。

 養護学校を例にします。養護学校高等部では、作業学習や職場実習があったり、職員体制が手厚かったりと、他の高校にはない良さがあり、中学卒業後に多くのお子さんが進学します。仕事を体験する機会を多く持つことで働く力をつけたい、という方には魅力的な選択肢のため、高等部に入学する生徒数が多くなります。ただ、生徒の中には、気持ちが安定せずに声をあげてしまうお子さんもいますので、ざわざわした雰囲気になってしまうことがあります。そのため、音に敏感でこの騒がしさには耐えられない、というお子さんもでてきます。いくらその学校に魅力があっても、そのお子さんの苦手とする状況が見られる場合には、進路としてお勧めすることはどうか、と思ってしまいます。

 私の知っているお子さんで、こんなことがありました。中学校までは特別支援学級に在籍していて、高等部から養護学校に進学した男のお子さんです。この子のお母さんが、「中学までは、クラスの女の子には全然相手にしてもらえなかったのが、高等部に進学して、初めて恋をしたんですよ。」と嬉しそうに話をしてくださいました。相手とコミュニケーションを取るのが苦手だったお子さんが、同じクラスの女の子を好きになりました。彼女はといえば、高等部に入学当初、気持ちが荒れていて、自己肯定感がとても低い子でした。「私なんか。」が口癖でした。そんな彼女も、自分の得意な絵で自信を持ち始め、だんだん心を開いていき、彼女も初めて恋をしました。素敵な世界でした。この2人は、たまたま良い環境に巡り合えたわけです。その子に合った環境の中に入ると、今までとは違った素晴らしい世界に出会うことがあります。

 大事なのは、一般論ではなく、その子にとって良い環境かどうかを見ていくことだと思います。早い時期から保護者の方が高校見学に行き、お子さんにとって過ごしやすい環境かどうかを見たり、保護者の方がいいなと感じた場所をお子さんにも体験してもらったりして、その子が安心して力を発揮できる場所を探していくことが大切です。保護者の方にとっては、大変な活動になりますが。

【理由その2】たとえある学校が良い、という話があったとしても、その次の年も良いとは限らないからです。

 これは、高校に限った話ではありません。小学校や中学校にも当てはまります。少人数で授業がなされていたり、不登校のお子さんへの対応が充実していたりなど、各高校には特色があります。しかし、担任だけは4月に会ってみないとわかりません。その先生とお子さんとの相性もあります。ただ、小学校と違うのは、たとえ担任の先生とうまくいかなくても、他の先生との関係が良好なために救われるという場合があるということです。私が中学に勤務していた頃、不登校の女子生徒が2つの教科(担任の教科ではない)の研究室に頻繁に顔を出していたことがありました。それでもいいと思います。

 とはいえ、この件については心配しても仕方がないでしょう。ふたを開けてみるまでわからないことを事前にいろいろ考えてみても埒が明きません。むしろ、入学前までにできることは何かを考えることの方が大切です。高校説明会に行って様子を伺ってみる、体験授業の様子を見る、その学校に行っている保護者の方からお話を伺ってみる、保護者の方同士で情報交換をする機会を作るなど、出来る限りのことをしてみましょう。保護者交流会のような交流の場も、ぜひご活用ください。

 コロナ禍の中、学校との連絡が取りにくい、参加できる行事や体験が制限されている、他の保護者の方と会って話をする機会が減ったなど、情報がなかなか入らないことへの不安を抱えている方が多いようです。私たちに出来ることがございましたら、遠慮なくお声がけください。

 最後に、保護者交流会のあと、ある保護者の方が、「自分から発信してみることが大事なんですね。」と言っておられました。その通りです。勇気がいることですが、一歩踏み出してみましょう。新しい情報が得られるかもしれません。

 次回のブログでは、支援内容の話を扱います。【山】(その2に続く)

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