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講演会へのご参加、ありがとうございました(その2)

更新日 2022年10月27日

 講演会にご参加いただいた皆様には、先生のどのお話が印象に残りましたか。私の場合は、発達に困り感のあるお子さんと、いわゆる「定型発達」の人との間には感覚や発想にずれがあるというご指摘と、定型発達の人が自分たちのものの見方や基準を押しつけ、お子さんたちの見方や気持ちを受け入れていないことでお子さんたちの自己評価が下がることがあるため、関係調整を行うことが必要だ、というお話でした。

 当日は時間切れで質疑応答の時間が取れませんでした。実は、保護者の方からの質問が出ない場合のために、私は2つの質問を用意していました。そのうちの1つが、「感覚や発想のずれを私たちが意識し、子どもたちの気持ちをもっと汲み取ることができれば、私たちの声がけや対応の仕方も変わってくるだろう。では、どうすればこのずれ(があること)に気づき、お子さんの思いを理解することができるようになるのだろうか。こんな方法はどうか、というアドバイスをいただきたい。」ということでした。

 北長野校には、『自閉症の僕が跳びはねる理由』(東田直樹著、角川つばさ文庫)という本が置いてあります。映画でご覧になった方もおられるでしょう。まだの方は、11月23日に長野市内で上映会とトークイベントがあります(お問い合わせは北長野校026-217-1670、または森と木026-259-9966まで。)ので、参加してみてはいかがでしょうか。私がこの本を読んだ時、東田さんが書いておられることのうちのかなり多くの内容に????が付きました。自分には東田さんの思いや感覚、発想が理解できないのです。ああ、こんなに発想のずれがあるのかと思い、大きなショックを受けました。ASDの方の考え方や感じ方は人によって違いますので、詰まるところ私には、誰の気持ちもわかっていない可能性が高いということになります。講演会でも、こんな内容のお話がありました。「色とりどりの落ち葉が道に落ちていて、きれいだなと思っていたら、友人の発達障害の女性が汚いと言ったので驚いたそうです。なぜでしょう。」これもわかりませんでした。

 講演会の終了後、このずれを埋めるためにはどうすればよいかを、山本先生に伺ってみました。先生もまだ試行錯誤しながら進めていると言っておられましたが、その解決方法の一つとして、「逆SST」を勧めていただきました。山本先生が所長を務める発達支援研究所では、これまでもZoomによる無料オンラインイベントとして開催されてきました。以前、私が参加したイベントでは、大学生の女性がご自分のことを話して下さいました。その方は、白か黒かしかなく、グレーが認められないという方で、この傾向をどう乗り越えてきたのか、周りからどういう働きかけをしてもらったことが嬉しかったのか、あるいは嫌だったのかなどについて話して下さいました。とても参考になりました。

 「逆SST」のイベントに参加したり、発達障がいの当事者の方がお書きになった書物などを読んだりすることで、少しでも発達に困り感のあるお子さんの気持ちに寄り添い、お互いの感覚ないし意識のずれを埋めてみませんか。楽なことではないと思いますが、まずはお子さんを取り巻く周りの大人がずれを埋めていくことで、お子さんの気持ちは安定することと思います。

 ただ、もう一つの問題が残っています。私が用意していた質問の2つ目です。北長野校の保護者の方から、講演会の前に出していただいた質問にもありました。仮に本人の周りにいる人がそのお子さんの気持ちを理解したとしても、例えば、友達にわからないことを尋ねたら馬鹿にされたとか、スーパーのレジでの店員さんとのやり取りで、「声が小さい。」と言われたために、それ以降、このスーパーで話しかけるのを躊躇するようになったなど、理解のない方からの心無い言動に出会ったときにどうするか、ということです。ある保護者の方からは、「どんなに丁寧に対応したとしても、全てのストレスを無くす事は不可能ですから、二次障害はなるものだと諦める心積もりが必要なのでしょうか。」という意見もいただいています。このあたりは、私には荷が重すぎるのですが、いずれどこかで書いてみようと思っています。ちなみに、北長野校にはレジリエンス(立ち直り力、心の回復力といった意味です。)に関する本がありますので、読んでいただくと参考になります。

 最後に、講演会でご紹介いただいた4つのQRコードを転写します。アクセスしてみて下さい。参考になる情報に巡り合えると思います。今後、逆SSTのイベントが開催される場合には、「はつけんラボ」などに案内が掲載されるはずです。

 山本登志哉先生、講演会に参加していただいた皆様、そして、講演会が滞りなく進むように力をかしていただいたノルテながの(吉田公民館)の職員の皆様に、心より感謝申し上げます。どうもありがとうございました。(完)【山】

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