保護者交流会での講師への質問の中に、各校でどんな支援をしていただけるだろうか、うちの子は家や園でも対応に苦慮しているので、学校ではどんな対応をしていただけるか知りたい、といったご意見がありました。同じような悩みを、他の方からも伺うことがあります。今回は、この質問に対して、やや変化球になりますが、私の思いを書いてみます。
結論からお伝えします。どんなことをしていただけるかを尋ねるより、こんなことをしていただけないか、こうしていただけるとありがたい、と先生方にお願いしてみてはいかがでしょうか。勇気がいることですし、言いにくいと思われる方が多いでしょう。保護者の方が話しにくいという場合は、支援会議や学校との連絡会などで、相談員や私たちが伝えることも出来ます。伝える方法は一つではありません。ただ、大切なのは、どう伝えればよいかではなく、何を伝えたらよいかにあります。
今回、講師の先生が用意してくださった資料の中に、小学校や中学校、高校入学選抜における合理的配慮についての記載があります。たくさんの内容が書かれており、ほとんどの項目で、実施している学校の割合が増えています。学校では、こういった配慮が積極的になされてきている、ということです。例えば、令和4年の特別支援学級についての調査では、県内の中学校の定期テストで出題文の漢字にルビを振ったという学校の割合は約56%(令和2年では約42%)、別室での試験を実施した学校は約70%(同、約63%)だそうです。なかには、保護者の皆さんの子ども時代には考えられなかったような内容も含まれていると思います。ここ数年で、合理的配慮に対する理解はずいぶん進んでいます。
このような配慮の中に、お子さんにとって役に立ちそうなもの、お子さんが利用することでもっと楽に生活したり楽しく学習ができたりしそうなものがあれば、園や学校にお願いしてみましょう。合理的配慮を行うことは、「特別扱い」でも「ずるいこと」でもなく、それぞれのお子さんが安心して学校生活を送る上で必要なことです。ただ、残念ながら、すべての先生方にこういった考え方が浸透しているかどうかは疑わしいのですし、こういった配慮に拒否感を持つ先生もおられるのではないかと想像します。そういう方には、いろいろなチャンネルを使いながら粘り強くお願いしていきたいところです。
もちろん、学校にお願いするだけでなく、ご家庭でできる様々な配慮もあります。握りやすい鉛筆や軽い力でも消えやすい消しゴムを用意する、教科書の読み上げアプリを使うなど、取り組みやすいものもあります。きらりに参考図書を置いてありますので、ご活用ください。
次に、合理的配慮以外に、園や学校にお願いする支援内容としてどのようなことが考えられるかについて書いてみます。この点については、次回、ある支援会議を例にお伝えするつもりです。【山】(その3に続く)