壁紙は令和6年9月バージョンです。
9月と言えばお月見ですね。大変上手です👏👏👏
さて、今回は学習についてのお話です。
突然ですが質問です❓🎩❓
あなたなら、次のようなお子様にどのように漢字を教えますか?指導者の立場になって考えてみて下さいね。
【中々漢字を覚えられない小学生のAくん。このままではいけないと、あなたは放課後にAくんを残して漢字の練習をするようにしました。練習が足りないのかもと、丁寧に書き順から再度教え直します。「書き順通りに何度も練習すれば覚えられるよ」と、特別に宿題も課しました。しかし、Aくんは中々漢字を覚えられるようになりません。練習している漢字も形がたどたどしく、上手く書けていません。ちなみにAくんは、図工の時間では見本を真似して作るのが上手だったり、機転が利くタイプで、イベントなどの司会進行役になることが多い生徒です】
はい、いかがでしょうか。
突然質問しておいてなんですが、指導には具体的な正解が存在しません。しかし、このままではAくんが漢字を習得していくのは難しいでしょう。Aくんにとって何か良い方法はないのでしょうか?
そこで、、、
今回は学習支援の原理原則をご紹介します。
最後までお読みいただければ、Aくんに適した指導方法が分かるようになっています。
それでは、進めていきましょう。
認知処理(分かり方)の2つのスタイル
勉強が苦手なお子様に教えるとなると、いつもよりも丁寧に手順を教えたり、説明を丁寧にしてあげたり、そのように対応しがちです。
ですがここまで対応しても、頭に入っていなかったり、逆に分からなくなってしまうお子様もいらっしゃいます。これはなぜでしょうか?
これは研究で分かっていることですが、人間の認知処理(分かり方)の方法には大きく分けて2つのパターンがあるからです。
それを継次処理と同時処理と言います。
誰でもこれらの能力に対して得手不得手があるのですが、それでもある程度の対応は出来ます。
(※バランスが取れているタイプもいます。)
しかし、学習に困難を抱えるお子様は、これらの能力に大きな凸凹があるためにバランスが悪く、苦手な能力を使った学習方法だと、どうしても対応するのが難しいのです。
逆を言えば、お子様が比較的得意としている方の能力を使えば、負荷が少なく学習内容を習得し易くなります。
ここで、2つのパターンをご説明します。
また、優位と表しているのは、そのお子様にとって相対的に得意だということを意味します。
〇継次処理優位
継次処理優位は手順を大事にするタイプで、順番通りに物事を進める事が得意です。漢字であれば書き順を覚え易くするために、語呂合わせや絵描き歌などを考えて練習すると効果的です。また、漢字を書いていくプロセスでも、「田」と「力」で「男」のように、それぞれのパーツを組み合わせてあげるように指導すると効果的です。また、語呂合わせや絵描き歌などからもお分かりいただけますように、聴覚情報や言語処理を得意とする傾向があります。
〇同時処理優位
同時処理優位は全体像を大事にするタイプで、例えば完成図を見た上でイメージを膨らませ、そこから完成に近づいていくプロセスを考えていきます。漢字であれば、漢字の由来やイメージイラストなどを見ることで全体像を膨らませ、その情報を元にして書く練習をしていくと効果的です。「男」の漢字の由来をご存知ですか?「田」んぼと畑仕事に使うスキが「カ」になり、それが合わさって「男」です。この連想によりイメージが刺激され、漢字を覚え易くなります。こちらは視覚情報や動きをともなって行う情報処理(作業やゲーム形式など)を得意とする傾向があります。
ただ、指導する際は、どうしても苦手な処理スタイルも混ぜなければならないと思います。ですので、飽くまでしっかりとお子様の得意を把握しておき、そこに比重を置いた指導方法を考えれば良いと思います。
また、これは私の経験則ですが、学校教育などの現場だと、どうしても同時処理優位のお子様を敬遠しがちになります。
何故かと言いますと、同時処理優位のお子様は、イメージが出来れば勝手に動き出す傾向があるからです。先生からしてみると、勝手に動かず手順を大事にしてもらえる方が指導し易いですよね。
飽くまで私の見解ですが、少し頭に入れて置いていただけたらと思います。
判断方法
この処理能力の得手不得手は、K-ABCⅡという知能検査を受けていただくとはっきりと分かります。基礎学力も測るので、学習のお困りごとに対する手掛かりになると思います。
受診を検討する際は、地域の相談窓口(教育相談室や発達相談室、発達障害者支援センターなど)で聞いてみて下さい。
また、お子様を観察することによって判断することも出来ます。
これはほんの一例ですが、
✅黙読よりも音読の方が頭に入り易いなら継次処理。黙読の方が頭に入り易いなら同時処理。
✅漢字でへんとつくりが逆になっているなど大まかな間違いが多いのは継次処理。大体の漢字の形は分かっているけど線が一本足りないなど細かいミスが多いのは同時処理。
✅時計がデジタル派なら継次処理。アナログ派なら同時処理。
✅細かい説明を受けて行動出来るのは継次処理。やることの目的を話せば自分で考えて行動出来るのは同時処理。
✅順序立てて話すことを主に行い、逆に機転が利きづらくなり易いのは継次処理。場に応じて話す順序を変えることが出来、司会進行などに向いているのは同時処理。
こんな感じで判断していくことが出来ます。
ポイントを繰り返しますが、「部分→全体へ」が継次処理、「全体→部分へ」が同時処理というニュアンスで観察してみて下さい。
おわりに
いかがでしょうか。
今回も少々難しいお話でしたので、まとめたいと思います。
・人には大きく分けて2つの認知処理(分かり方)の方法があり、それぞれ継次処理と同時処理という。
・学習に困難さがあるお子様は、この2つの能力にも大きな凸凹がある。
・得意な能力を主に使って学習を進めれば、負荷が減って頭に入り易くなる。
・2つのどちらの能力が優位にあるか、K-ABCⅡや日頃の観察から判断出来る。
【+α】継次処理優位でも、同時処理優位でも、伝わり易いのが理想的な指導。
今回は人の認知処理(分かり方)の方法をご紹介しました。
語呂などで書き順を丁寧に教える方が良いのか、イラストなどでイメージを使う方が良いのか、
こういう少しの違いを知るだけでも、ご家庭での勉強の負担を減らせると思い、お伝えいたしました。
お子様はどちらのタイプなのか、見ていただけたらと思います。
ぜひ、これからの勉強の参考になれば幸いです。
あっ、ちなみに少し触れておきますが、冒頭のAくんは「同時処理優位」のお子様ですね。
漢字を練習する際は、イメージ出来るイラストなどが入ると効果的です。
また、作業や動きをともなうようなゲーム形式で学ぶと、意欲的に取り組んでくれる傾向にあります。
体験療育を実施しています。ご相談なども承っております。
お気軽に、お電話やホームページを通してお問い合わせ下さい。
では、今回はこの辺で。
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