お知らせ

新しい学級、新しい先生、新しい仲間(その3)

更新日 2022年4月5日

では、前回に引き続き、②の内容のついてお伝えします。

ところで、落ち着いた対応を取ることの重要性は、担任自身にも当てはまります。こんなことがありました。私がある学校に赴任してまだ半月もたたない日の夕方、地域の方から学校に電話がかかってきました。下校の時、私のクラスのお子さん(当時小6の男子)のところに、同級生らしい女の子が自転車で突っ込んでいって、男の子はけがをして痛そうにして帰った、というのです。クラスのお子さんの名前もまだ全員覚えていない頃の事です。このお話を言葉通りとれば、いじめがあったのではないか、と思いたくなりますし、いじめなら大問題です。そのため、担任としては、慌てふためいてその女の子が加害者と考えて家に電話をして、何をしてたんだ、と問い詰めることもできます。ただ、幸か不幸か、かつて、いじめがひどくて地域でも悪名高い小6のクラスを1年間だけ担任したことのある者としては、そこで一呼吸おくことができました。この日、まず私はその男の子の家に電話をしてから直接出向き、男の子本人と会いました。本人の表情を見た時、いじめではないことはすぐにわかりました。「大丈夫だよ、先生。」、と言いたいような顔つきでした。実は二人はとても仲が良く、ふざけて遊んでいて、たまたまぶつかってしまったようです。けがもほんのわずかな擦り傷でした。そのあと学校に戻った私は、相手の女の子の家に電話をしてから家庭訪問をしました。お子さんは、お母さんと一緒に神妙な顔をして玄関で待っていました。「やあ、○○さん。おめでとう。この学校に来て、私の家庭訪問第1号だよ。」、実は地域の方からこういう電話があったんだけれど、「どうせふざけて自転車で飛び込んだんだろ。」、こんな調子でした。相手の男の子の様子を伝えたあと、この女の子とお母さんには、次のような内容の話をしました。状況は私にはわかったし、いじめではないこともはっきりしたけれども、相手の男の子のお母さん(家庭訪問をした時は、まだ帰宅していませんでした。)には何が起こったのか分からないため、家に帰ってきたら驚くかもしれないこと、これからもお互いにいい友達でいてほしいし、中学でも一緒に活動することがあるはずなので、ここでお互いに嫌な印象を残してほしくないこと、そのため、できれば直接相手の家に行って事情を説明して謝ってみてはどうだろうか、相手のお母さんもきっとわかって下さるはずだ、と伝えました。この女の子もお母さんも私の意図をわかって下さって、そのあと直接相手の方の家を訪問したそうです。もしあの時私が、最初にこの女の子の家に行って保護者の前で怒鳴っていたらどうなっていたでしょうか。このクラスはいろいろと大変なクラスで、叱られることが多かったと聞いていました(実際は全く逆で、とても素晴らしいクラスでした。)ので、この女の子は、またか、という思いを抱いたでしょう。私との気持ちのつながりもできなかったはずです。

4月最初の2週間は、新しい先生やまわりのお子さんとの気持ちのつながりを作る重要な時期になります。いい出会いがありますよう、願っています。特に小学校1年生の場合は、まずは先生との気持ちのつながりを作ることが大切です。ただ、もしこの時期にうまくいかなかった場合は、どこに対してでもいいですし、お子さんからでも保護者の方からでも結構ですので、遠慮なくヘルプを出してください。その後の対応を一緒に考えていきましょう。(完)【山】

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