子育てや支援をする際に「それはだめ」と否定するよりも、「こうしよう」と肯定的に提案する方が効果的だと言われています。もちろん、緊急事態では「だめ!」と言って止めることも必要です。しかし、それは一時的な対処であり、長期的に見れば、肯定的な提案の方が大切です。特に発達障害を持つお子様の場合、このアプローチはより重要です。では、なぜそうなのでしょうか?いくつかの理由を具体的に考えてみましょう。
① わかっているけどやめられない場合
発達障害を持つお子様は、頭では「やめなきゃ」と思っていても、気持ちがついてこないことがあります。感情が強く関与する場面では、心の中でいろんな気持ちがぶつかり、行動を変えるのが難しくなります。例えば、お菓子を食べ過ぎるお子様に「もう食べちゃだめ」と言っても、つい手が伸びてしまうことがあります。
対処法:
こんな時は、お子様の心の中でどんな気持ちがぶつかっているのかを知り、それをどうしたら落ち着かせられるかを見つけることが大事です。例えば、お菓子を食べたい理由を話し合い、「お菓子は食べられるけど、この時間は少し我慢しようね」と具体的なタイミングやルールを決めることが有効です。また、視覚的なスケジュールを使って次のお菓子の時間を示すことで、安心感を与えることができます。
② 言われるからやりたくない場合
お子様が何をすればいいのか理解していても、自分の気持ちがわかってもらえていないと感じると、「あんたの言うことなんか聞きたくない」と反発してしまうことがあります。これは、発達障害を持つお子様が特に感じやすいです。
対処法:
この場合は、お子様が自分の気持ちをわかってもらいたいと思っていることに気づき、その気持ちをしっかり聞いてあげることが大切です。例えば、「宿題をしたくないのはなぜ?」と問いかけ、宿題が難しい、疲れているなどの理由を理解し、「少し休憩してから一緒にやろうか?」と提案することで、反発心を和らげることができます。また、お子様のペースに合わせて小さなステップに分けて取り組むことも効果的です。
③ 何を求められているのかよくわからない場合
「○○はだめ」と言われても、具体的に何をすればいいのかわからず、どうしていいか困ってしまうことがあります。発達障害を持つお子様は特にこのような状況で不安を感じやすいです。このような時、否定するだけではなく、具体的でわかりやすい説明が必要です。
対処法:
「○○してほしい」「○○の方がよくなるよ」といった具体的で前向きなアドバイスをすることで、お子様は何を期待されているのかがはっきりわかり、自信を持って行動することができます。例えば、「おもちゃをこの箱に入れてくれる?」と具体的な指示を出すことで、お子様がスムーズに動けるようになります。また、視覚的な手がかりやピクトグラムを使って指示を視覚化することも、発達障害を持つお子様には非常に有効です。
肯定的なアプローチの具体例
日常生活の中で、どのように肯定的な提案を取り入れるかの具体例をいくつか紹介します。
食事の時間
お子様が野菜を食べたがらない時、「野菜を食べなさい」と言う代わりに、「この野菜を一緒に料理してみようか?どんな味になるか楽しみだね」と提案することで、お子様が興味を持ちやすくなります。また、視覚的に魅力的な盛り付けを工夫することも効果的です。
勉強や宿題
お子様が宿題を嫌がる時、「宿題をやりなさい」と言う代わりに、「一緒にこの問題を解いてみよう。どんな解き方があるかな?」と一緒に取り組む姿勢を見せることで、お子様が前向きに取り組むことができます。さらに、短い時間で集中して取り組む「ポモドーロ・テクニック」を使うことも有効です。
お片付け
部屋の片付けを嫌がる時、「片付けなさい」と言う代わりに、「このおもちゃを一緒に片付けよう。どこに置くのがいいかな?」と子どもと一緒に考えることで、楽しみながら片付けができます。視覚的な手がかりを使って片付けの手順を示すと、さらにスムーズです。
まとめ
子育てや支援において、否定的な言い方は一時的な効果しかありません。反対に、肯定的な提案やアドバイスは、お子様の行動を長い目で見て良い方向に導いてくれます。特に発達障害を持つお子様にとって、具体的でわかりやすい指示や視覚的な手がかりは非常に有効です。お子様の気持ちや要求に寄り添い、安心感を与えることで、より効果的な支援ができます。この記事が、みなさんの日々の子育てに少しでも役立てばうれしいです。
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