中学で数学を習うとそちらの考え方に慣れてしまうため、小学校で習う解き方が分からなくなることがあります。方程式がその代表です。割合や方程式は、小学校で教えるのが難しい単元、なかなかお子さんたちに理解してもらえない内容でもあります。
前回の問題に話を戻します。学年によってはXとYを使って解くことで正解となる場合もあります。私も初めてこの問題のような内容を教えた時、なかなかお子さんたちに理解してもらえず、中学に行って勉強すればもっと簡単に解けるのに、と思ったこともあります。ただ、それでは困っているお子さんに対して何のアドバイスにもなりません。そこで、私なりに教え方を考えてみました。
このような問題でした。
「ノート1冊とえんぴつ3本で350円になります。ノート1冊とえんぴつ4本で420円になります。ノート1冊はいくらになりますか。えんぴつ1本はいくらになりますか。」
まずは、図にしてみましょう。
📓 ✐✐✐ 350円
📓 ✐✐✐✐ 420円
図を描くことに慣れてくると、わざわざこんな絵を描くのが面倒になってきます。
の え え え 350円
の え え え え 420円
ノートは「の」、鉛筆は「え」としました。これでも充分わかります。もっと簡単に、ノートを〇、鉛筆を△にして、
〇 △ △ △ 350円
〇 △ △ △ △ 420円
でもいいです。それぞれの図の上の列と下の列を見比べると、ノートはどちらも1冊で同じですが、下の方は鉛筆が1本多く、値段も70円だけ高くなっていることがわかります。そのため、最初に書く式は、
420-350=70
となります。どうしてこの式を作ったのか、その理由を図とともに書いておけば、立式の意図がわかりやすいですね。鉛筆1本分が出ましたので、次は、「ノート1冊とえんぴつ3本で350円になります。」という言葉の式にこの数値をあてはめます。
70×3=210 350-210=140
または 350-(70×3)=140
となり、答えは、ノート1冊140円、鉛筆1本70円となります。
確かめ算をするとさらに良いでしょう。答えを出すときに使わなかった、「ノート1冊とえんぴつ4本で420円になります。」にこの数値を入れてみます。140×1+70×4を計算(×1はなくてもいいですね。)すると420となるため、答えが正しいことがわかります。
大切なのは、問題文を図や表に表して考えるということです。低学年のお子さんの場合は、おはじきなどを操作しながら考えてみることも大切です。算数の文章題が苦手というお子さんの中には、図や表を描かずに、頭で何となくこうかなと考えるお子さんと、図や表をどう描いたらいいかわからない(描くことに慣れていない)というお子さんがおられます。後者の場合、北長野校には、小学校低学年向きの本ですが、算数の問題を絵に表すことについて書かれた本が2冊置いてあります。いずれも、ある小学校の先生から教わったもので、高学年向きのものも市販されています。もしよろしければお読みください。
というわけで、次回からは北長野校にある小さな図書室を数回に分けて紹介します。(山)