⑨登校、下校(登校班、下校班)
登校班と下校班は、学校によって運営方法が異なります。1年中登校班を組んでいる学校もあれば、期間限定の学校、登校班自体をほとんど組んでいない学校など、様々です。登校班を組んでいるところでは、3月中に班長のお子さんから、集合場所や集合時刻についての連絡があるはずです。登校班で登校することに不安があるという保護者の方は、担任の先生に相談して下さい。登校班で登校できないお子さんは、実は結構多いです。お子さんのいろいろな事情によって、車で送り迎えをしたり、少し早めに(遅れて)学校に来たりなど、いろいろな場合があります。また、班長のお子さんに迷惑をかけるのではないか、と心配される方もおられるでしょう。私が6年生の担任をしていた頃、登校班の班長になるというのは、6年生に責任感を持ってもらうための良い経験だと思っていました。1年生は登校時にいろいろなことがあって当たり前なので、その場に応じた対応の仕方を教えたり、6年生の子どもたちの相談にのったりしてきました。6年生だって、1年生の時には班長さんに迷惑をかけてきたわけですから、お互いさまです。気にすることはありません。ただ、道路での飛び出しが心配といった命にかかわるような問題については、班長だけでなく、学校としっかりと連絡を取る必要があります。そこまで6年生に責任を負わせることはできません。
通学路は、保護者の方と一緒に入学前に何回も歩いてみることが大切です。お子さんの足でどのくらいの時間がかかるか、危険な場所はどこか(親の目線とお子さんの目線では見え方が違ってきます。)、その場所ではどういう対応をしたらよいか(特に交通安全)を確認しておきましょう。ただ、実際に登校するようになると、思わぬことへの対応が必要になる場合があります。犬がいる、通学用の帽子がかぜで飛ばされた(あご紐を忘れたなど)、雨への対応、急な腹痛、道端の草などに気を取られたなどにより、登校途中で1年生が動かなくなってしまうこともあります。事前に対応できることはお子さんに伝えておくのが良いのですが、何が起こるかわからないのが1年生の登校ですので、安全面以外は上級生に任せる、くらいの気持ちでよいと思います。
1年生の下校のしかたも、学校によって様々です。最初のうちは下校時刻がはやく、1年生の先生方と他の何人かの先生方が総動員で、お子さんたちを方面別(方面別の下校班を作ります。)に送っていくのではないでしょうか。先生方にとっては、地域やお子さんの様子を知る機会にもなります。
⑩1年生の年間計画(主に行事)
5月下旬か6月初めに運動会(または音楽会)を行う学校が多いようです。ただ、まだ入学して2か月ほどですので、1年生にはあまり無理をさせないはずです。感覚過敏、特に音に過敏というお子さんの場合は、学校との相談が必要になります。
また、プールは大丈夫でしょうか。水を怖がる、着替えで心配があるなど、困りごとがある場合は学校に相談しましょう。
⑪合理的配慮
それぞれのお子さんが学校生活や学習をしやすくするために、学校ではいろいろな配慮がなされており、その一つが「合理的配慮」と言われるものです。字を書くのに抵抗がある(とても長い時間がかかる)場合にタブレットを使う、クールダウンや個別学習のための小部屋を用意するなど、様々な例があります。まずは学校の先生に相談してみて下さい。
お子さんに合理的配慮がなされると、他の子からいろいろと言われるのではないか、と心配される方もおられるでしょう。「ずるい。」という思いを抱く子がいるのも確かです。しかし、なぜこういう配慮が必要なのか、こういった配慮が、「ずるい。」といった子にとっても役に立っているんだということなど、学校で時間をかけて指導していくことです。もしお子さんが周りからの言葉を気にしていることがあるとすれば、そんな言葉を言う方がよくないので、学校と相談しましょう。
⑫発達の凹凸
どのお子さんもみんな同じように成長するわけではありません。何歳だから、周りの子はみんなできるから(←だいたい誤解です。)などと気にしすぎると、お子さんを無理に引っ張り上げることになってしまい、お子さんにも保護者の方にもストレスがかかったり、お子さんの自己肯定感が下がったりすることになってしまいます。ただ、この点についてはさじ加減が難しいですね。もっとできるだろう、という思いを保護者の方が抱くのは自然なことです。このあたりは、いろいろな方との情報交換が必要になってきます。
発達の凸凹について、私がよく保護者の方にお話する例は、5年生での高原学校(最近はコロナで中止になったり、宿泊がなくなったりしているようです。今後、どうなるでしょうか。)での宿泊についてです。一泊二日の予定の場合、おねしょが心配なために夜中に起こす必要があるかの調査を、必ず行ってきました。起こして下さいという保護者の方が結構多く、起こす時間をいくつか指定しておかないと、職員は寝ていることができなくなってしまいます。また、普段はとてもしっかりしている子が、夜になって淋しくて泣いてしまい、家の方に迎えに来ていただいた、ということもありました。5年生ならそんなことはないだろう、と多くの方はお考えでしょうが、実はこんな状況です。何年生だから、何歳だからこうなって当たり前、というわけではありません。どのお子さんにも育ちの凸凹はあります。【山】(その4に続く)