お知らせ

その子に合った支援?(その4)

更新日 2023年1月27日

 話題をきらり北長野校に戻します。今のきらりでの支援において、その子に合った方法を考えるうえで、以前私が指導員の皆さんに伝えたのは、行き当たりばったりの方法は取るべきではない、ということでした。そのお子さんに出会ったばかりの時や、これまでの支援の積み重ねがない場合には、どうしても手さぐりになってしまいますので、そういった場面で行き当たりばったりの対応になるのは仕方のないことです。しかし、これまでの支援実績があったり、支援会議からの報告や他の指導員からの情報が入ったりする場合には、何らかの支援の手掛かりが出てきます。それらを生かしていくことで、その指導員さんなりの根拠を持った支援を組み立てることができると思うのです。

 今の北長野校の指導員さんたちが赴任してしばらくたった頃、ある指導員さんからこんな質問と依頼を受けました。「私の行っている支援がいいのか悪いのかがわからない。意見を聞かせてほしい。ダメな場合はダメと伝えてほしい。」と。私の答えはこうでした。「何が良い支援なのかの答えは一つではないし、これじゃなくちゃならないということはないよ。正しい答えはないと思う。ただ、ダメな支援はあるね。A・・・B・・・C・・・今やっていることは、このうちのどれにも当てはまらないよ。だから自信を持って取り組んでいってほしい。」

 私が考えるダメな支援とは、次の3点です。このうちの1つでも当てはまれば、支援としては成立しないと考えています。

A:お子さんの今の様子や困り感、保護者の方の願い、そのお子さんの今後のことを考慮しないような支援はダメ。これはある意味、当然です。お子さんや保護者の方は、何のためにきらりに来てくださっているのか、その方たちの願いに応えようとするのは当然のことです。ただ、今後のことというのが難しいところです。そのお子さんの自立した姿をどう考えるかは、保護者のお考えを伺うことに加え、しっかりとした話し合いが必要です。そのお子さんの成長によっても変わってくるものです。

B:独りよがりの支援はダメ。5人の指導員は一つのチームであり、それぞれがそれぞれの持ち味を出して支援を行っています。うまくいくこともあれば課題が出ることもあります。それぞれの指導員が行ったことをお互いに情報共有したり、課題について一緒に考え合って進めたりしていくことが大切です。それをせずに独りよがりで支援を行っていくことは、たとえその時にはうまくいったように見えたとしても、結局はそのお子さんの力として積み重なっていきません。みんなで協力して取り組んでいってほしいと願っています。

C:その場しのぎや、深く考えずにその場の思い付きで取り組む支援はダメ。これは、臨機応変な対応を否定するという意味ではありません。事前に相談したり、よく考えたりしてから取り組んでほしいし、よく考えたうえでの臨機応変な対応ならば、いろいろなものが見えてくるものです。いくら一生懸命考えて取り組んでも、結果としてそのお子さんに拒否されたり、お子さんの実態に合わなかったりすることもあります。そうだからと言って、その支援がだめだとは思いません。その指導員が支援内容に対する自分なりのしっかりとした考えがあって取り組んだ場合は、たとえうまくいかなくても何かそこから得られるものがあります。例えば、あの子はこういうことをすれば受け入れてくれないんだ、ということがわかり、それを指導員全員で共有することも大事なことで、こういった理解が、次回以降の支援に大きな成果として表れてきます。もちろん、失敗しない支援ができればそれに越したことはないのですが、しっかりと考えて行っても、失敗することやうまくいかないことはあり、たとえそうなったとしても悪いとは思いません。しかし、しっかりとした考えを持たずに、単なるその場の思い付きで行った場合には、うまくいった場合には何が良かったのか、うまくいかなかった場合には何が問題だったのかが見えてこないことが多くなります。これでは結果として、「這い回る」ことになり、何も成果として残らなくなります。

 この指導員さんに伝えたのは、この3つのうちのどれにも当てはまっていないので、自信を持って取り組んでいってほしい、ということでした。

 では、このような考えで今後も大丈夫かというと、そうとは言えないということも付け加えておかなければなりません。仲間内だけで行っていると、どうしても内容が似通ってしまって発展性がなくなってしまうことがあります。保護者の皆様からいただいた事業所評価の中に、「活動プログラムが固定化しないよう工夫されているか」という項目があり、まさにここに関わってきます。指導員は、固定化を防ぐために、自分たちでいろいろな教材を探すほかに、研修の機会を増やしたり、他事業所の内容を参考にしたりすることで、色々と工夫をしています。私から教材を提案することもあります。支援会議でこんな話題が出た、こんな本があってこの部分が使えるのではないか、などです。こういった、お互いに高めあうような取り組みは、これからもずっと続けていきます。【山】(その5に続く)

無料相談・お問い合わせ

教室や子育てに関する
お悩み・お問い合わせは
以下からお問い合わせください

お問い合わせ