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その子に合った支援?(その3)

更新日 2022年12月22日

 この支援のどこがよかったのかと振り返って考えてみると、①何をすべきか、目標が本人にも私にも明確であり、お互い(かどうか、よくわかりませんが。)に共通理解ができていたこと、②目標到達までの道筋をスモールステップにしたこと、③そのステップが本人にとって無理のないものであり、且つ時間をかけて一歩一歩ステップを上がっていくことができたこと、④一つひとつのステップを達成したことが(おそらく)本人の満足感につながったこと、⑤(本人にとって、わずかであったかもしれないけれども)楽しく取り組むことができたこと、あたりではないかと思います。同じクラスに走るのが好きなお子さんがいて、声をかけてくれたのも助かりました。

 ただ、今考えると、この取り組みが果たしてA君にあった適切な方法だったのかは、疑問になる点がないわけではありません。本人の意思を尊重することを最優先する立場の方は、こうして走らせること自体を否定なさるかもしれません。本人は走りたくないわけですし、前年度は泣きながら走っていたようなので、そのトラウマがあった中で無理して走らせたのではないかという批判もできます。しかし、その立場に立つと、月曜日の朝、床に寝ている彼をじっと待っているのが適切だ、彼が動くのを待つべきだ、という考え方になっていくような気がします。当時の私は、その考え方には疑問を持っていました。本人の意思を無視して無理にやらせるのが不適切であることはその通りだと思います。しかし、寝ている時間を全く奪ってしまうことは問題であるとしても、毎日の体育は本人にとってやる必要のない、意味のない活動なのだろうか、ずっと寝ていることがこの時期の彼にどんな意味があるのか、どんな力が付くことになるのか疑問だ、という思いがありました。寝ていることで彼が気持ちの安定を図っているようでしたら、そのまま待っている方法もありでしょう。しかし、私には、寝ているのが気持ちの安定を図るための行動とは思えませんでした。 寄宿舎から登校してくる日には、彼が玄関で寝ることはなかったからです。

 当時の私は、彼が喜んでゴールインした姿を見た時、彼を誘って一緒に走ったことは間違いではなかったと感じ、彼に合った支援方法だったと思っていました。ただ、このあたりは意見が分かれるところでしょう。横になっていることは彼にとってはかけがえのない時間だったのであり、寝ていたいという本人の意思を大切に考えるべきで、運動に誘うのはどうか、という考え方にも一理あるからです。【山】(その4に続く)

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