大変ほほえましい光景の中に、あたたかな思いやりがこもっているマンガを寄稿してくださいました。 「すごくいいなあ」というのが正直な私の感想です。このジャンケンの例にとどまらず、例えば、ボールをきょうだいや親と一緒に追いかけて蹴るのがとても好きな利用者様がいましたが、ともすれば「それは本来のサッカーのルールではない、ゴールキーパーの存在の意味やボールを交互に蹴りあうパスの仕方を教え込むべきだ」という方向になりがちです。そこで「こういう方法でやってみたい?」と本人に聞くことはとても大事なのだと思います。「今はまだ、勝ち負け等にこだわらずにジャンケンの手のおそろいを楽しんでいたいんだ」あるいは「自分は他の人と競い合ってゴールを目指すのではなく、他の人と一つのボールを蹴っていくのがいいんだ」と言うのであれば、その「今の段階」つまり「その子が立ち止まってじっくり味わいたい世界」を大人が共有して一緒に楽しむことが大切なのだと思います。
もし「そのやり方は間違っている!」と、本来の遊び方に『修正』すれば、だんだんそのものが苦痛になってしまい、途中まで進んでいた遊びの発達がそこで食い止められてしまうこともあり得ます。私自身、つい見失いがちな視点ですので、この漫画を見るたびにその基本を思い出していきたいです。ただ、この視点には同時に注意も必要だと思っています。「私はこうしようとは思わない、これでいい」という言葉の裏には、たまに「本来のやり方でできる自信がない・やってみたらうまくいかなかったのでもうやりたくない」
という体験が隠れている可能性があるためです。「こういうやり方・補助をつければできるんじゃないかと思うけど、どうかな」「たとえ負けても面白いよね」等の言葉も場合によっては添えながら、子どもの成長段階を待つことが必要なのだと思っています。
栗林南校保育士 北村碩子