昨日、高齢の母親を近所の病院へ連れて行った。すると久しぶりに会う顔が。私より10歳ほど年長の方で、すでに高校の教員を退職されているN先生。長い間、定時制の高校で勤めてみえて、そこで退職された。私の教え子を何人も面倒を見ていただいた。不思議な縁でN先生の娘さんを担任したこともある。「え、娘さんはもう41なの?」とその事にまず衝撃を受ける。
いろいろ話をしていて、共通の教え子のT君の話になった。
T君は中学卒業後もちょくちょく私のところに来て、彼が成人してからは、よく飲みにもいったものだ。そのT君が酒の席でこう言った。「ぼくは、小学校の1年から中学の3年まで、”落ち着きがない”とどの先生にも書かれた。そんなことは言われなくてもぼくが一番よく知っている。でも”どうしたら落ち着けるか”という方法を教えてくれた先生は一人もいなかった」私は、その言葉が一番こたえた。確かにその通りだ。
今、フィードバックに次のような言葉をかけてくださいと支援員の先生方にはお願いしている。
できない事実は事実として伝えてほしい。でもなぜできなかったのか、私たちの支援に何が足らなかったのか。そして、次の支援にはこうするつもりだとそういうことを必ず伝えてほしい。できなかったのはその子が悪いのではなく、私たちのサポートにどこか問題があったはず。
できたのならば、さらにその子を伸ばすために、同じことを繰り返すのではなく、次にどんな支援をするのかと発展させていってほしい。
常に、次の支援を考えていける「教室」にしていきたい。
T君は今、仕事をやめ、年老いた両親の介護に専念している。私は、そんなT君を遠くからだまって見守ることしかできない。でも、彼は、彼の選んだ道をゆっくりと歩んでいるいることは確かだ。