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「すること」と「しないこと」(その2)

更新日 2023年5月25日

 お子さんの姿を見ているようでいて、実は案外見ていないものだな、と感じることが私にはよくあります。いつも見ているからわかると思いがちですが、実はそうでもないんだ、と感じることもあります。

 私が小学校、特に低学年の担任をしているときに、こんなことがよくありました。学期末、通知表の所見を書く時期になると、お恥ずかしい話ですが、何を書こうか悩むお子さんが必ずいます。私の場合、だいたいそういうお子さんは、いつも私の周りにいるのです。決して声をかけていないわけではなく、接する時間が短いわけでもないのです。学校では長い時間、私と関わっています。でも書けないのです。その子なりのエピソードが浮かばないのです。先生方の中には、毎日しっかりと記録を取っている方がおられる(と聞いたことがある)ようですが、私にはできませんでした。そのため、いつも悩むことになりました。

 こういう場合、私はどうするかといいますと、1日か2日ほど、そのお子さんの様子をいつも以上に注意深く観察する機会を作りました。休み時間に何をしているか。誰と一緒に遊んでいるのか。学習の時はどんな様子か。給食はたくさん食べているのか。掃除の時は何をしているか。などなど、その子をいつも以上に注意して見ます。そうすると、今まで何気なく見ていたこのお子さんの様子が、どんどんつながってきます。そういえばこういうこともあった、こんないいところがあるじゃないか、といった具合です。こうやって所見の文を書いていきました。

 注意深く見ていると、ほかにも思いがけないことに気が付くことがありました。あの子って、○○さんと仲良しだと思っていたけれど、二人で遊んでいることってあまりないんだとか、こういうことが好きだと思っていたけれど、案外やっていないんだとかいう場合がありました。小学校低学年のお子さんの場合、まだまだ縦(先生とお子さん)のつながりの方が、横(お子さん同士)のつながりよりも強い場合が多く、先生を中心に集まっていて一緒に話したり遊んだりしているけれども、集まっているお子さんたち同士のつながりはそれほど強くない、ということがあります。そのため、先生がいない場面になると違った姿を見せてくれます。これが高学年や中学校になってくると、友達とのつながりが強くなることに加え、担任の見ていないところでの活動が増える(例えば、委員会や部活動のような、他の職員の下で活動する時間については、報告がないと分かりません。)ため、こちらで思ってもみなかった報告が届き、驚くことがあります。

 家でずっとお子さんの様子を見ていることはできません。ただ、手のあいた時でもいいので、意識してお子さんの様子を見ていると、これまで気が付かなかったお子さんの新しい姿を発見することがあるかもしれません。試してみてはいかがでしょうか。【山】(完)。

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