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【アイコンタクト】ASD(自閉症スペクトラム症)の見ている世界

更新日 2022年10月27日

みなさん

こんにちは😊

子どもサポート教室きらり宇都宮校です!!

今回はASD(自閉症スペクトラム症)の方の見ている世界の第2弾になります✋

子どもとの関りの中で「目を見て」といった声掛けをした経験はありますか?

私たちは日常生活の中で自然と相手の目を見てコミュニケーションを取っていると思いますが、なぜ特性のある子どもたちの中には視線を合わせることが少ない子がいるのでしょうか。

そんな「視線」に関する不安が少しでも解消されればと思い、ASD(自閉症スペクトラム症)の方の見ている世界として「アイコンタクト」を紹介していきます。

【1:人の認識】

まず初めに人の認識についてです。アイコンタクトについて考える際に、人はどのように人を認識しているのかはとても重要です。

人の認識というとわかりにくいかもしれませんが、生活の中で「あれは人なのかな?」と迷ったことはありませんか?

例えば遠くに立っている何かを見た時に人だと感じたが置物だったことや、雲の形が人に見えるといったことが人の認識です。

他にも人とは全く関係のない「車の顔」や「コンセント」を見て人の顔みたいだなと「人っぽさ」を感じることもあります。

このように、3つの点を見つけると人の顔に見える現象を「シミュラクラ現象」と言われますが、この現象と人の認識について考えていきます。

そこで突然ですが、人を捉えるとはどういうことなのか体験してもらうために、ワークをしてみたいと思います。

ワークは「一つの画像を見ていただき、どのイラストを一番長く見つめていたのか」という内容です。

もし自分が一番注目していた画像が分かるようであれば覚えておいてください。特に時間は設けませんので、好きなタイミングで次に進んで大丈夫です。


ワーク①



いかがでしたか。

人によって個人差はありますが、一番左のイラストが目に留まったのではないでしょうか。もしくは、右からニ番目のイラストだったのではないでしょうか。

このワークを新生児に対して行うと次のような結果になります。

新生児の場合でも一番左のイラストが長い時間見られています。右からニ番目のイラストも長い時間見られていますが、二つのイラストの共通点は何でしょうか。それは、黒目の有無です。

実は、人の目は動物の中でも特殊で「白目」がはっきりと存在しています。他の動物を見てみると白目は無く、茶色の部分と黒目になっていたり黒一色になっています。反対に人の目は白目がくっきりしているため眼を認識しやすい構造になっています。

そのため実験のイラストでも全体が白目になっているイラスト(左から三番目)よりも、黒目がはっきりしているイラスト(左から一番目・右からニ番目)を人は見つめる傾向があるということです。

そして人は新生児の時期から人の目を認識していて注目をしているということが分かります。

このことから人の顔の認識は「目」が大きく関係していて、人は「目」を認識の中で比重を大きくしているため新生児の時期から「目」を追いかけているのです。

【2:視線を追いかける】

先程の実験から、人は人の目を無意識に見ているという結果が出ています。

それでは、ASDだと診断された人はどうなのかを見てみましょう。

人の視線を見ていくために、人の視線を追いかける機械(アイトラッカー)を活用して観測をした実験があります。

実験に参加する人たちは全員成人で、アイトラッカーを付けて一つの映画を見るよう指示されます。その際に注目する場所などの指示はなく、ただ自然体で映画をみるように促されます。

そこで皆さまにも体験してもらいましょう。

次の画像は『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』という映画のワンシーンです。

みなさん画像を見て、自分がどこに注目しているのかを確認してみてください。

いかがでしたか。

おそらく多くの方は、赤丸の部分を一通り注目をしたのではないでしょうか。

さらに細かい部分ではありますが、無意識に登場人物の視線の先を確認していませんか?

視線を追うことで男性・女性がどのような関係なのかを推測できませんか?

これが「視線追従」です。

ではこの実験をASDの人と、そうでない人で視線を観測するとどうなるのでしょうか。

赤の十字線がASDの方の視線の動きになります。反対に黄色の十字線がASDと診断を受けていない人の視線の動きになります。

見てもらうと分かりますがASDと診断を受けた人は口元に視線が向いていて、それ以外の人は目に視線が向いています。

他のシーンも見てみると、同じような傾向で推移していることが分かるかと思います。

以上のことをまとめると次のようになります。

では、ASDの人は目に注目することはないのでしょうか。実はそんなことはありません。

学齢期の段階では目への注目に特性の違いは見られないと報告されていて、顔に対して反応を示しています。課題の前に「目を見てください」と指示が明確にあると目を見ているという結果もあります。

このことから、ASDの人とそうでない人のアイコンタクトを考えると「無意識に・自然にできるかどうか」が明らかな違いであるということができます。

【3:まとめ】

以上がASDとアイコンタクトの関係についてです。

ASDの人の中には無意識に相手の目に視線がいかないので、生活の中では意図して相手の目を見ている方もいるということです。

ですが、すべてのASDの人に「視線を追いましょう/相手の目を見ましょう」と言うことは簡単ですが、それが苦手な人に対しては無理を強いることになってしまいます。

むしろ自然体の中で目が合いにくいということが分かっているのであれば、「面接」や「真剣な話をする時」などは目を見ることを意識すると、相手に好印象を持ってもらえるという生活スキルを教えてあげたり視線を使ったコミュニケーションを減らしてあげるといった配慮をすることが出来るかと思います。

相手の視線を追うことが出来ると学習に繋がる側面(共同注意)がありますが、視線を使わずに対象の物に注意を向けることができればそれも学習へと繋がっていきます。

アイコンタクトに関する情報は他にも沢山ありますが、多くなってしまうので今回はここまでにしたいと思います。

 

こどもサポート教室「きらり」宇都宮校では、随時相談を受け付けております🙂

日常生活で子どもと関わる時に困っていることや、今後の進路で不安なことなどお気軽にご相談ください。

またブログの内容でご質問等がございましたら、職員にお声掛けください。

それではまたお会いしましょう😃

※参考文献

(Am J Psychiatry 2002; 159:895–908) Defining and Quantifying the Social Phenotype in Autism

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