皆さんは「障害年金」という制度を知っていますか?
ガン、糖尿病、うつ病、パーキンソン病、その他の難病の数々から、骨折などの外傷まで・・・
いつ身に降りかかるかもしれない、ありとあらゆる疾病・外傷のすべてを「障害年金」はフォローしています。
これらの状態が永続的に続いたり、長期にわたる場合には「障害年金」があなたを助けてくれます。
要件さえ満たせば、働いていても受けることができますし、過去に遡って受給することだって可能です。
障害手帳の交付とは関係なく、手帳を所持していなくても支給されます。
「障害手帳が1級だから、当然、障害年金も1級でしょ」と思われる方もいますが、そうではないんです。
●初診日が特定できること(初診日要件)
初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことをいいます。
病気やけがにおいての初診日であり、その病院での初診日ということではないので注意してください。
障害年金の受給希望となったきっかけである病気やけがの初診日が、いつ、どこの病院だったかを特定する必要があります。その際、診断書などの裏付けができるものも必要です。
ただし、知的障害に関しては先天的な障害とされているので、初診日の証明は必要はありません。アスペルガー症候群や自閉症にもこの例外は広がりつつありますが、まだ発達障害全般には保障されていません。
●年金制度に加入している期間に初診日があること(制度加入要件)
初診日に国民年金や厚生年金保険などの年金制度に加入している必要があります。しかし、初診日に住所が日本国内にあったならば、初診日に20歳未満、あるいは60歳以上65歳未満でも国民年金に加入していたのと同じ扱いになります。
20歳未満は国民年金に加入できないことから、20歳に達した時に障害等級に該当していれば加入要件は必要ありません。つまり、20歳未満で障害を受け、その状態が続いている人にも年金制度の対象となります。
●定められた期間に保険料が納付されていること(保険料納付要件)
以下の2つのどちらかに当てはまっている必要があります。
1.初診日の前々月までの年金加入月数の3分の2以上が保険料納付済みか免除されている月であるとき
2.初診日の前々月までの年金加入月数の12カ月すべて保険料納付済みか免除を受けた月であるとき
●一定の障害の状態であること(障害要件)
障害等級に該当している必要があります。
障害等級とは、障害の状態を分けたもので、重いものから1級、2級、3級とされています。
1~2級は国民年金法施行令で、3級および3級より軽度の障害状態は厚生年金保険法施行令で定められています。この場合の障害等級は労災保険の障害年金のものとは違うものです。
厚生年金に加入している場合は1級~3級のいずれかに該当しているならば障害厚生年金を受給することができます。
また、障害等級が3級に達していなくても条件に該当しているならば、障害手当金という一時金が支払われます。
国民年金に加入している場合は、1級と2級に該当しているならば障害基礎年金を受給することができます。しかし、障害基礎年金には障害手当金はありません。
●障害年金を受けるための障害認定基準
障害年金に関わる(年金額の)等級も、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳などの障害者手帳も「1級、2級」と、等級の表し方は同じのため混同しやすいのですが、障害年金の障害認定基準は障害者手帳の障害認定基準と異なります。そのため障害者手帳で1級でも、障害年金では異なる場合があります。
精神障害における障害認定基準は、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」に基づいて認定されていました。しかし、精神障害と知的障害の認定において、地域でその基準に違いがあるという状況が明らかになってきました。
こうした、認定における地域差を改善するため、厚生労働省は新しいガイドライン(『国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン』)を作成し、2016年9月1日より実施しています。
精神障害と知的障害においての等級は、「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」の評価の平均をもとに認定されるようになりました。等級目安などの詳細は下記のリンク先にあります。
ただし、てんかんにおいては、発作の重症度や頻度などを踏まえて等級判定を行うことを障害認定基準で規定しています。そのため、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」に基づいて、等級認定を行います。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/ninteikijun/20160715.files/A.pdf
身体障害の障害認定基準についても下記のリンク先でも紹介しています。平成28年6月1日に、障害基礎年金、障害厚生年金の障害認定基準の一部が改正されているので確認してみてください。
国民年金・厚生年金保険|日本年金機構https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/ninteikijun/20140604.html
不安なことやわからないことがあったら、お近くの年金事務所に問い合わせてみましょう。
全国の相談・手続き窓口|日本年金機構https://www.nenkin.go.jp/section/soudan/index.html
●障害年金はいくら支給されるの?
日本年金機構によると、障害年金は以下のように計算され毎月支給されますが、支給額はその年度の経済状況で変動があります。
また、子どもの数による加算額は児童手当との兼ね合いで支給額が調整されます。下記は2020年度の金額です。現段階でいくら支給されるのか、目安として参考にしてください。
障害基礎年金
1級の場合の年額:781,700円(老齢年金の満額)×1.25+子の加算
2級の場合の年額:781,700円(老齢年金の満額)+子の加算
※子の加算…第1子・2子は一人につき224,900円。第3子以降は一人につき75,000円。
この時の子どもは下記の要件を満たしている必要があります。
・18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
・20歳未満で障害者1級または2級の障害がある子
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